彼女に出逢ったら、服の色や形だけではなく、

ご自身の生活や性格の話をしてみて欲しい。

きっとそれを素晴らしいスタイルに昇華させてくれるだろう。

映画監督/音楽家
ふるいちやすし氏

映画の中でのスタイリングディレクションは

自然であると同時に

刺激的でなくてはならないと思っている。

まず自然であるという事に関して、
正直に言うとあやさんと2本の映画を一緒に作るまでは

一般的なスタイリストの仕事には満足したことがなく、毎回代えて、

時には敢えて雇わないことすらあった。

まず、新しい服を借りて来て、
汚さないように使い、
終わった後はタグを元通りにして…
そんなので生きた人間の姿が
現せるはずがない。

まずそこであやさんのエイジングに
対するこだわり
に驚かされた。
例えば兵士の服でも現場に来てから
その場の土を使って“汚し”を入れていく。

それはほんの一部の
テクニックに過ぎないが、
彼女をそこまで拘らせるのは、
何といっても“人”を見る力だと思う。

実際、彼女とは多くの時間を人物像を理解してもらう為の話し合いに費やした。
その度に彼女は頭を抱えて悩んでしまったが、僕はその時間が楽しくてたまらなかった。

軍服を着せれば兵士には見えるだろうが、一人一人、

そこへ来るまでの背負っているものが違う…。
なんて話にとことん付き合ってくれたのだ。

そしてそれをスタイルに
落とし込んでいってくれた

そればかりか、とある町の人々という設定で集まってくれた

エキストラさんに対する指示も的確で、
つまりは“人”を見る目がずば抜けているという事だ。

そういうレベルで話ができる人だから作家としてはたまらない。

それは多分
劇や俳優に限らず活かされていく
あやさんの特別な能力だと思う。

もし、彼女に出逢ったら、
服の色や形だけではなく、
ご自身の生活や性格の話をしてみて欲しい。

きっとそれを素晴らしいスタイルに昇華させてくれるだろう。

©会田正裕 映画『Citizens』より

映像作家/音楽家 ふるいちやすし氏

脚本・監督・音楽・撮影・編集まで手がけるマルチクリエイター。ロンドンフィルムメーカー国際映画祭、モナコ国際映画祭など、世界各国の映画祭で数々の受賞歴を持つ。

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